LZHは、1990年代の日本でよく用いられた汎用の可逆データ圧縮方式および圧縮ファイルの保存形式の一つです。 1988年に吉崎栄泰氏が開発したフリーソフト「LHA」で採用された圧縮方式で、主にMS-DOS環境で広く普及しました。 ファイル名の拡張子は通常「.lzh」になります。
LZHファイルは、元のファイルの情報を少ないビットに符号化します。つまり、冗長なデータを削除して、ファイルサイズを小さくします。 この方式は「可逆圧縮」と呼ばれ、元のデータは一切失われません。 一方、音声や画像データを圧縮する非可逆圧縮もあります。
LZHは、圧縮符号化だけでなく、複数のファイルやフォルダをファイルシステム上の階層構造を保ったまま一つのファイルに保存することができる、 アーカイバ(archiver)の役割もあり、古いファイル群の保管(バックアップ/アーカイブ)や、 記録メディアやデータ通信によるデータやプログラムの配布・交換などの用途でも広く用いられました。
LZH対応の有名フリーソフト「UNLHA32.DLL」の作者Micco氏は、自身の公式サイトで、LZH形式が抱える脆弱性を解決できないことから、 ソフトの開発中止を宣言しました。さらに「企業・団体ではLZH形式を利用しないように」と呼びかけました。 LZH形式が、日本人によって開発され、主に日本でしか使われていないため、ウイルス対策ソフト側で対策が講じられないケースが多いといいます。