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ISMバンド(Industrial Scientific and Medical Band)は、 医療、産業、科学分野で汎用的に使用するために割り当てられた無線通信の周波数帯のことです。 ISMバンドは「産業科学医療用バンド」とも呼ばれ、国際電気通信連合(ITU)によって割り当てられています。 無線通信の周波数は限られた資源であるため、同じ周波数を多人数で使用した場合は世界中で混信が生じます。 こうした事態を回避するため、国際電気通信連合(ITU)が周波数の使用目的を定め、各国の主管庁に監督責任を委ねています。 日本では電波法が制定されており、総務省が管轄しています。
通常、電波の利用には無線取扱免許や届け出が必要な場合が多いですが、 ISMバンドを利用するほとんどの機器は免許がなくても利用することができます。
ISMバンドの周波数帯は国によって異なり、日本では「2.4GHz帯」「5.7GHz帯」「920MHz帯」などがあります。 2.4GHz帯は、無線LANの規格であるIEEE 802.11bやIEEE 802.11g、Bluetooth、電子レンジなど幅広い分野で利用されています。 さまざまな機器がこの帯域を共有しているため電波が干渉しやすい状況にあり、 干渉を抑えるために周波数ホッピングやスペクトラム拡散などの技術が使われています。
5.7GHz帯は、屋内限定の無線LAN規格であるIEEE 802.11nやIEEE 802.11ac 、アマチュア無線、各種レーダーなどに利用されています。 2.4GHz帯に比べ、5.7GHz帯は電波の混線が少ないという特徴があります。 また、920MHz帯は、IoTシステムの通信手段として利用されています。
様々な機器がこのISMバンドを利用するため、この帯域は「ノイズが多い」といわれています。 そのためISMバンドは、「ダーティーな(汚い)帯域」と呼ばれることもあります。 もちろん、通信内容がダーティーなわけではなく、多様な無線通信システムが同じ周波数帯を共用しているので、 干渉しやすい状況にあることを示しています。
通信以外の用途でもISMバンドは使われています。 電子レンジが発する電磁波が、その一例です。 「無線LANの通信が安定しなかったため、調べてみたら電子レンジの使用時だけ通信できないことがわかった」などという トラブル事例がよくあります。 その原因は、無線LANの電波と電子レンジの電磁波が干渉し、通信が不安定になっていたためです。