決算修正は、過去の決算書に誤りが見つかり、当期の決算書に影響がある場合に行う遡及処理のことを言います。 決算を行うと、その結果に基づいて企業が収めるべき税金を算出し、社長や株主の承認を得て確定申告を行います。 そのため、本来、決算書に誤りがあってはいけませんが、 正確に計上できていない仕訳が確定申告後に見つかった場合は、当期の決算書を適正にするため、 ルールに則って過去の決算書の誤りを正す必要があります。
「勘定科目が間違っていた」「借入金などで長期・短期を間違えて分類していた」などは、概ね損益計算に影響する誤りではありません。 このような場合は、当期の決算書において正しい勘定科⽬で計上できていれば問題ありません。 過去の決算書も、修正せずそのままでよいことになります。
売上高や未払費用の計上漏れなど、本来計上すべきだった収益・費用が計上されていない場合、 過去の損益計算が変わり、当年度末の利益剰余金残高が増減するため、決算修正が必要になります。 しかし、現行の会計基準では、過去の誤謬を当期の損益として計上することはできません。 そのため会計基準では、過去の決算書に誤りが見つかった場合は「次の対応を行うべき」となっています。
金額的に重要性が低いと判断できる誤りである場合は、例外的に当期の決算書において過去の影響を修正することが認められています。 また、中小企業の場合は、現⾏の会計基準より「中小企業会計に関する指針(中小指針)」または「中⼩企業の会計に関する基本要領」が優先されるため、 当期の決算書で修正額を計上するのでよいとされています。
決算修正の期限は、原則として5年です。 会社法442条において、株式会社は計算書類(決算書)などを定時株主総会の日の1週間前の日(取締役会設置会社は2週間前の日)から5年間、 本店に備え置く必要があり、また株主および債権者は、いつでもそれらの閲覧を請求できると定められています。 つまり、適切な情報開示を行うには、少なくとも過去5年分の決算書については、誤りが見つかった場合には決算修正の必要があるといえるでしょう。